東北関東大震災のよりよき復興にむけて(その2)

2011年3月22日

「東北関東大震災のよりよき復興にむけて(その1)」からの続き:

3.生活再建へのプロセス

災 害の特徴や復旧・復興における特別の困難性を認識した上で、徐々に緊急対応段階を脱し、復興段階に向かうと考えられるが、今後のプロセスは、避難、仮設居 住、本格復興という段階を経ることとなる。各段階における留意点や採るべき方策については以下にのべるが、復興プロセス全体について考慮すべき点として、 以下のことがある。

(1)復興は、被災者の生活再建を第1義とすべきである。復旧復興すべき課題は山のようにあるが、被災者の生活再建を無視して優先させるべき課題はない。できるだけ早く、すべての被災者が立ち上がれるように復興施策を組み立てるべきである。

(2) 被災者支援の最も重要な窓口は基礎自治体である。できるだけ早く、個々の被災者にそれぞれの事情に応じた復興の道筋(オプション)を的確に提示し、相談に 応じ一人ひとりが希望を持てるように支援する必要がある。この点では、被災自治体の首長・職員も被災者であり、また初めての経験という場合が多いが、全国 の支援を集中し、なんとしてもその困難性を克服しなければならない。国は、被災者が救われるためのあらゆる制度を活用し、また必要な新制度を速やかに創設 しなければならない。阪神大震災ではほとんど何の制度もなく、被災者が大いに苦労し、「被災者生活再建支援法」ができ、その充実活用はきわめて重要である ことはいうまでもないが、それにとどまらず、今回の災害の特徴に見合った新法・新制度の創設に積極的でなければならない。また、災害救助法で規定されてい る被災者救済の方策は、厚生労働省の一方的な「判断」による不作為で実施されないといった悪弊は絶つべきであり、現行法で可能とされているあらゆる支援を 行うべきである。

(3) 地震・津波の災害で一命を取り留めた被災者が、その後の避難生活・仮設居住・復興の過程で困窮し、命を落とすといった被害(復興災害)を生んではならな い。生き残ったものがすべて、速やかに生活を回復し、死者を安らかに弔える安定した状態にならなければならない。復興災害を絶対に招かないことは、復興プ ロセス全体を通じる至上命題である。

4.避難

(1)緊急的な避難所の改善

阪 神大震災以来、毎年のように災害が起こっているが、避難所の非人間性は一向に改まらない。避難所での食事、さまざまな物資、医療、プライバシー、心のケア などの改善が必要である。避難所生活が長期に及ぶ可能性があり、適切なリーダーとボランティアの配置などにより、その運営を確立することが重要である。学 校などが避難所となっている場合、教員が運営に関わるケースでは、過重な負担になることがおおく、避けなければならない。

(2)県外避難

今 回の被害の実情にかんがみれば、いったん被災地を離れて県外に避難することは、重視すべきである。条件のある被災者は速やかに被災地を離れ、落ち着いた生 活の中で、将来を熟考するといった方策をとるべきであろう。その際、注意すべき点は、県外避難者へのフォローである。被災県からの情報を確実に県外避難者 に伝え、仮設住宅や復興住宅その他の復興施策において県外避難者が埒外におかれることのないように、受け入れ先の自治体との連携を密にしなければならな い。仮に住民票を移動した場合でも、従前地での被災者として公平・平等に扱うことが欠かせない。阪神大震災では、こうしたことが十分に行われず、少なくな い県外避難者が不利益をこうむったり、復帰するチャンスを逃し、また帰る気力を失ったりしたのである。

(3)県外避難の受け入れ

すでに全国の自治体で公営住宅の空家を提供する準備が進んでいるが、この際、国や県は公営住宅等に関わる従前からの施策(廃止、除却など)を見直し、被災者への提供をいっそう大規模に進めるべきである。

東北関東大震災のよりよき復興に向けて(その3)」に続く

工学研究科建築学専攻 塩崎 賢明

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